2014年1月13日月曜日

「成人の日」未明に見たドキュメンタリー

 昨夜放送された日本テレビの「NNNドキュメント」はすごい内容だった。

 亡くなった映画監督・大島渚が制作したドキュメンタリーをそのまま放送し、その後で、是枝裕和や田原総一郎らが作品の今日的な意義について話していた。

 戦争中に「日本兵」として命をかけて、両目や手を失って障害者になった在日韓国人の兵士たちが、「日本人なみの軍人恩給」を、と政府に求めて、陳情に歩く。元の兵隊同士が集まると、こらえきれない怒りが爆発し、途中で切断されたままの手をむき出し、ふだんはかけているサングラスを外して眼球のない両目を見せる。

 素材もむき出し。音楽もむき出し。ナレーションもむき出し。

 怒りがほとばしっている。

 是枝が「かつては20%の声であってもテレビがそれを伝え、多様性があった。今はそれはない」と言う。

 その通りだ。大島作品をそのまま放送し、是枝らの見方を挿入することで、今の時代の政治やテレビ状況を照射する番組になっていた。

 そのことに気がつく人は気づく。
 
 制作者が「覚悟」を持って作っている、というその迫力が画面から出ていた。

 制作スタッフの勇気に拍手を送りたい。

「反骨のドキュメンタリスト  大島渚 『忘れられた皇軍』という衝撃」   55分枠

放送 : 1月12日(日)
  24:50~
ナレーター : 永田亮子
制作 : 日本テレビ
再放送 : 1月19日(日)11:00~
    BS日テレ
  1月19日(日)18:00~ 
CS「日テレNEWS24」 
2013年1月、大島渚監督が逝った。「大島渚は不器用で、反国家むきだしにして体を張って 闘っていた」そんな大島の魂がこめられたドキュメンタリーが、日本テレビに遺されている。『忘れられた皇軍』(1963年放送) 日本軍属として戦傷を負い、戦後、韓国籍となった旧日本軍の兵士たち。片腕と両眼を失った白衣の傷痍軍人が何の補償も受けられぬまま、街頭で募金を集め る…大島は一体何を訴えようとしたのか?当時の制作スタッフや妻・小山明子の証言からひもとき、テレビと映画2つのフィールドで活躍する是枝裕和監督や同 時代を生きたジャーナリスト田原総一朗と共に考える。50年を経た今、大島の映像は少しも古びることなく、見る者を激しく揺さぶる。テレビを考え抜いた映 画監督、大島の遺言とは?