ジャーナリスト/テレビ批評家/法政大学社会学部教授の水島宏明の個人ブログです。 元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクターで、貧困問題や医療の問題、農薬汚染、原発事故など数々のドキュメンタリーを制作してきました。 テレビ番組のこと、テレビや新聞のニュース報道のこと、社会の問題、<働き方>の問題など、様々な問題についてジャーナリストとして発信しています。 テレビ、新聞、ネット、そして世の中の動きをどう読み取れば良いか。 記事や番組など今のマスコミの「見方」を解説します。 情熱と理性を持ったジャーナリストたちの「味方」としても、優れた報道を紹介したいと考えています。
2021年6月13日日曜日
尾身茂さんの主な国会発言を書き起こしてみた(5月31日ー6月4日)
政権や政府との間の溝があるとか「尾身の乱」などと政権との対立構図ばかり強調されるコロナウイルス感染症分科会の尾身茂会長の国会での発言。
国会のインターネット中継を見て発言を「書き起こし」してみました。
現代ビジネスオンラインで記事にしたので、そちらの記事を書くために作成したのものです。
斜体にしたのはテレビ番組で「切り取られた」部分です。
表記はなるべく正確に書いたつもりですが、あくまで記事作成のための作業用の「書き起こし」なので必ずしも一字一句まで書き写したわけではありません。厳密さを追求される方は国会のインターネット中継で確認してください。
参考になれば幸いです。
TV衆議院インターネット審議中継
参議院インターネット審議中継
・5月31日 参議院・決算委員会
参考人として招致された尾身会長は、立憲民主・社民会派の勝部賢志議員の質問に答える形で答えている。
(勝部賢志議員)
東京オリンピック・パラリンピックの開催が新たな変異株の感染拡大が懸念されるわが国の状況に対してどのような影響を与えるのか。感染のリスクをどのように考えているのか。また「(選手を含めた大会関係者と外部との接触を遮断して)バブル内に封じ込めるから大丈夫」というようなオリ・パラ主催者側の感染対策の信頼性についてはどのように考えるのか。率直にご意見をいただきたい。
(独立行政法人・地域医療機能推進機構理事長 尾身茂)
再三申し上げてきましたが、私自身はオリ・パラを開催すべきかどうか判断する立場にはございませんけれども、仮に日本政府あるいはオリ・パラ関係者が開催するという前提に立てば、私は2つのことを分けて考えた方がいいと思います。
一つは、バブルの中と言いますか、これは今、プレーブック(筆者注・選手ら大会関係者向けの行動のルールブックのこと)等でオリンピック関係者が非常にエネルギーを注いで、このバブルの中、あるいはスタジアムの中での感染を、どうリスクを低くするかという議論をされていますよね。
それは非常に重要なので、また改善すべきことは、また今(プレーブックの)第3バージョンを作るということでしっかりやっていただければ、私は選手を含めてある程度はコントロールが可能と思っています。
感染リスクというのは、実はあまり議題になっていませんけれども、実はそこじゃなくて、日本国内の感染状況がどうであるかということが私どもは国内の感染対策に対してアドバイスする立場におりますので、関係者がもし開催するのであれば、どういうことの感染のリスクがあるかということを述べる責任があると思います。
そういうなかで最も重要なことの一つは、バブルの中じゃなくて、このオリンピックの開催に伴う地域ですね、一般のコミュニティー、東京、ほかの…。人々の行動、人々の「人流」。接触の機会がどうなるかということで、普通にしていればこの人流が増えて接触の機会が増えることはほぼ間違いない。
で、オリンピックは格段の…、普通のイベントとは違いますから、放っておけば人流が増えて感染…、でオリンピック開催の近くに連休がありますよね。連休ということで東京にいなくて地方に行く、ということがあって、国内での、県を越えた、県内もそうですが、県外への人々の動きで感染が拡大するリスクが当然あるので、それに対してどのような対策を取るか、しっかりと今から考えていった方がいいと私は思います。
(勝部議員)
こうしたことについて専門家の方々が公式な場で政府と議論するような場はありましたか。
(尾身氏)
非公式には何回か事務局の方が来られて私どもの考えを示したことはありますが、正式には何か会議があって、あなたたちの意見はどうかと聞かれたことは今のところはございません。
・6月1日 参議院・厚生労働委員会
(福島みずほ議員/立憲民主・社民)
パブリックビューイングと感染リスクについてどう考えるか。
(尾身氏)
私はパブリックビューだけを議論するよりは日本の感染全体がどうなるかを考えるべきだと思う。仮に政府や関係者がオリンピックをやるということになれば、それを機会に一般の人々にも人が動けば感染が期間中かあるいは期間後に拡大することはほぼ確実です。多くの市民に協力。感染をしないようにあまり県を越えて動かないようにとの要請をする必要がある。
その時に一部でもパブリックビューをやるのはおそらくダブルメッセージになって、感染が起きるということに加えて、一般の人、日本全国の人に協力してもらわなきゃいけないのに、オリンピックの関係者がかなりの努力をしているのを見せないと、今もう協力が言いにくい状況になっているわけですよね。
そういう中では仮にやるにしてもスリムにしてなるべく感染しないという努力をしないと一般の人の協力を得られないということもあるので、その辺はパブリックビューをやることのインパクトですよね、そういうところでは勝てば人間、応援している人がいれば大声を出したくなるのが人情ですよね。みんなでハグしたいということもあるかもしれない。そういうこともありえると。そういうことも慎重に考えて判断されればいいと思います。
・6月2日 衆議院・厚生労働委員会
立憲民主・無所属の会派の川内博史議員
(川内議員)
オリンピック開催の是非についてなんらかの形で政府に意見を表明するのか。
(尾身氏)
我々専門家の意見を何らかの形で関係者に伝える必要がある。その際に政府に伝えるのか、あるいはその他に伝えるのか。我々の役割は国内での感染拡大リスクをなるべく小さくすること。これをできるのは政府だけではない。オリンピックの委員会というものがあるので。分科会というのは政府(が相手)ですよね。組織委員会となるとそこには政府関係者もおられるのでそういう方法がいいのか。政府だけではコントロールできないので当然、組織
委員会、あるいはIOCも考えている。
共産党の宮本徹議員からの質問
(宮本議員)
地元の夏祭りなどがどんどん中止になるなかでオリンピックだけ特別扱いして開催することが社会に対してどういうメッセージになるのか。お考えを聞かせてほしい。
(尾身氏)
私は国および組織委員会の関係者がオリンピックをやるという決断をしたのかどうかよく分かりませんけれども、するのであれば私はやや比喩的に言えば、三位一体の努力が必要だと思います。
一つ目は政府あるいは自治体による一般市民の協力で人流にともなう接触機会をなるべく減らすことへの努力が必要だと思います。もう一つはここに来て人々から緊急事態宣言などへの協力を得にくくなったという現実がありますから、相変わらず人々の努力だけに頼るという時期は過ぎたと思いますので、ITのテクノロジーとかサイエンスを最大限に活用するというのがもう一つ。
それから、最後はオリンピック組織委員会の人たちにぜひやっていただきたいのは、オリ・パラをもしやるのであれば、その規模をなるべく最小化して、管理体制をできるだけ強くする。人々、国、自治体の努力とサイエンスとテクノロジーの最大の活用とオリンピックをオーガナイズする人たちの責任としては、今の状況でやるというのは普通はないわけですよね。このパンデミックで。
そういう状況の中でやるということであれば、オーガナイザーの責任として、開催の規模をできるだけ小さくして管理の体制をできるだけ強化することはオリンピックを主催する人の義務だと。そういう意味で三位一体の努力が必要だと思います。
(宮本徹議員)
五輪をやること自体が第5波を大きくする危険があるのではないか。
(尾身氏)
仮に五輪をやるのであればリスクを最小化するのが関係者の務めであると思う。私はどうやって感染リスクを最小化するかということは当然、オーガナイザーの方々の責任だと思いますけど、そもそもオリンピック、今回こういう状況の中で一体何のためにやるのか。目的ですよね。それが明らかになっていないのでこのことをはっきりと明言することが実は人々の協力を得られるかどうかという非常に重要な観点だと思うので。
オリンピックを仮にやるのであれば、いかに感染のリスクを評価して、それを最小化することはもとより、一体、何のためにこのオリンピックを開催するのかという明確なストーリー、話をいかに感染リスクを最小化するかという話とパッケージでしないと、国民は国や自治体は大臣がおっしゃるように「なるべく外には出ないでテレビで観戦する」ということになりそうですよね。
そういう中で、なぜやるのかということ、あるいはオリンピック委員会の人がどれだけ汗をかくのか、さきほどの三位一体のオリンピック関係者の方ですよね。そういうことが明確になって初めて、一般の市民は「それならこの特別な状況を乗り越えよう。協力しよう」という気持ちになるんだと思いますけど、そうしたはっきりした国から、あるいはオリンピック委員会でしょうね、から、なぜやりたいのか、国、すみません、これは誰が決めるのかわかりませんけど、関係者がはっきりしたビジョンと理由を述べることが私は極めて重要だと考えます。それがないと一般の人はこれに協力しようと思わないで、地方で飲み会があったり、地方へ帰れば同級生と飲もうとなる可能性が否定できないと思います。
・6月3日 参議院・厚生労働委員会
立憲民主・社民会派の打越さく良議員の質問。
(打越さく良議員)
現在もっとも心配なのは国内の流行対策とオリ・パラの開催の両方を議論する場がないことです。厚労省アドバイザリーボードで国内感染のリスク評価を行い、分科会でオリ・パラ等国内外のリスク評価を行うことが妥当と考えますが、尾身会長のお考えをお聞かせください。
(尾身氏)
おっしゃったアドバイザーボードおよび分科会でオリンピックを開くかどうかというのを我々が判断するということはそういう立場にもないし、そういう権限もないので立場にないし、権限もないということですけれども。
しかしですね。仮に…、今どうもそういう状況になっているようですが、仮に政府が、あるいはオリンピック委員会、IOC等が決定をするということを判断された場合には、私どもはこの1年以上、ずっと国内の感染対策について政府にアドバイスをするという立場で来ていますから、オリンピックを開催すればそれに伴って、国内の感染、あるいは医療の状況に必ずなんらかの影響を起こしますから、我々こうした役割を担ってきた専門家としては、仮に国が、あるいは組織委員会がオリンピックを開催すると決定した場合には、感染のリスク、あるいは医療逼迫への影響を評価するのは我々のプロフェッショナルとしての責任だと思っています。
したがって分科会の場でやるのが相応しいのか、あるいは、組織委員会に我々の考えを示すのか、あるいはその他のメニューがあるのか、いろいろな選択肢があると思いますけど、それといつその我々の考えを示すのかという選択肢はあると思いますけど、私どもはなるべく早い時期に、どういう形にせよ、我々の考えを正式にしかるべきところと場所に表明するのが我々の責任だと思っていますので、そうしようと思っています。
(打越議員)
今のところは政府あるいは厚生労働省から、そうしたオリ・パラに関連して感染についてのリスク評価、開催の可否について諮問は受けていないということですね。
(尾身氏)
これも何度か申し上げてきましたが、組織委員会の事務局の方から非公式に何回か私のところに接触があって、その時に私の個人的な意見は申し上げましたけれども、専門家の人たちの意見をまとめて述べてくれというような正式な要請は何もございません。
(中略)
(尾身氏)
オリンピックの開催は大きく分けて2つの側面があって、その2つの側面が非常に密接に関係しているということだと思います。一つはいわゆるバブルの中、あるいはスタジアムの中の感染対策ということで、これについてはIOCや組織委員会がプレーブック(ルールブック)というものを、第3番目ができるということですが、しっかりやろうとしている。やろうとしていることは間違いなくて、いろいろなワクチンを打ったり、検査をしたりということで、私はそちらはある程度は制御をすることは可能だと思います。
しかし、実際にオリンピックという、これは普通のイベントとは違う規模ですよね、社会的な注目度も違う。このことをすることによって、当然、人の流れというものが生まれてきます。人の流れというのは大きく分けて3つの要素があって、人流というのは何なのか疑問に思われる人がいるかもしれませんが、1つは全国から観客が移動するという側面です。
2つ目はパブリックビューだとか、大会の外で行われるスポーツ・イベント。そこでは観客と応援という側面があります。3つ目は都市部に、お盆も入ってくる、連休もある。期間中、都会から地方、お盆の帰省とか。家族に会う。おじいさんに会う。友人に会う。こういう大きな3つの要素があります。したがって、オリンピックのバブルの中だけを議論してもほとんど意味はないと思います。
むしろ感染の機会は、オリンピックの開催に伴う人々の動きが、私3つ申し上げましたけど、これが起きる可能性が極めて高い。したがって、これを成功させるためにオリンピック委員会も最大限の努力をしてもらわないといけない。
私はそれが開催する人の責任だと思います。それには規模をなるべく小さくして、人数は少なくして、それから管理ですね、選手の方はリスクは極めて低いと思います。しかし、大会関係者、ジャーナリスト、スポンサー、政府関係者もいる。要人もいる。これらの人の管理はそう簡単ではない。
それと日本国内の(感染予防への)理解。この2つが一緒の方向を向いていないと、いくらバブルの中をコントロールしても、なかなか一般の人が納得して、たとえば大臣がおっしゃったようなテレビを家で見てくださいというようなメッセージが伝わらない。
そういう意味でオリンピック委員会の方も日本国内の状況を十分に理解してもらわないと、スタジアムの中だけ考えても、しっかりした感染対策はできないと思うので、そういう意味で私は三位一体と言っていますけど、オリンピックの関係者と政府と、それから政府の方にはこれから非常に重要な時期になりますから今まで通りの感染対策ではダメで、ワクチンに加えて検査だとかその他のテクノロジーを使った、今まで以上に強い対策をするという、それぞれが連携した役割を果たさないと難しい。
これは本来、こういうパンデミックでやるというのは普通でない。それをやろうとしているわけで、やろうとするならかなり厳しい責任をオリンピック委員会も政府もやらないと一般の市民はついて来ないのではないか。ぜひ強い覚悟で、やるならですね、やってもらう必要があると思います。
・6月4日 衆議院・厚生労働委員会
立憲民主党と無所属会派の長妻昭議員から質問(途中から)。
(長妻昭議員)
自分の息子や娘からの素朴な疑問として、自分の学校の運動会は中止になった。でもオリンピックはやると。「これ、お父さん、お母さんどうしてなの?と言われた時にどう答えればいいのでしょう」という親御さんからの投げかけがあった。これ、尾身先生、いかが思われますか。
(尾身氏)
委員がご質問のオリンピックの運営方法ですね。これについては組織委員会とか政府が決めることで、我々専門家はむしろ開催にともなう、もし、やるとなれば、国や組織委員会が決めた場合には、どんなリスクがあるかというのをなるべく専門家として客観的な意見を述べるというのが我々の務めだと思いますので、我々のリスク評価をもし、政府、組織委員会が聞いていただけるのだったら、そうした中でそうした判断をしていただけたらと思います。
(長妻議員)
素朴な疑問ですが、運動会はダメだけど、オリンピックはいいというのはどういうふうに説明すればいいですか。
(尾身氏)
オリンピックを仮にやると決めた場合、そこはバブルの中ではなくて、日本の一般の地域の感染のリスクの方がはるかに問題なので、一般の市民の協力が必要なので、やはり一般の市民が納得できるような開催、あるいは市民へのメッセージ、説明というのが大事だと思います。
(長妻議員)
尾身先生は昨日の参議院の厚生労働委員会でオリンピックを開催すれば国内の感染の状況や医療に必ず何らかの影響を及ぼすという話がありました。それをやる場合、オリンピックを規模を縮小するにせよ、やる場合とまったくならない場合は感染者数は違ってくるとお考えですか。
(尾身氏)
私は国が、組織委員会が仮にやるという決定をした場合には当然、これだけの人が来て、大イベントをやるわけですから、感染のリスクが当然あるわけですよね、一定程度。
やるのであれば感染のリスクは地域においてが多いので、それをどう組織委員会と国が連携してリスクを最小限にすることが求められるのだと思います。
(長妻議員)
具体的に五輪を開催した場合としなかった場合でどれだけ感染が拡大してお亡くなりになる人がどの程度増加するのか、そういうことも真剣に議論すべき段階に来ているのではないのか。まったくやらない場合に比べてどの程度、被害が増えていくのか、尾身先生の所感を教えてください。
(尾身氏)
ご質問の私自身の気持ちとか個人的なことで決めるわけにはいかないんで、専門家として我々が考えていることは何人かの独立した研究者に、オリンピックの開催で私が何度も申し上げたようにバブルの中の感染よりも、地域での人の動き、何もしない場合ですよね。強く国が対策をしっかり打って、それに一般市民が協力してくれる場合とそうでない場合が当然ありますよね。そういう場合にどのくらい感染者が増えるのかをお示しすることがしっかりした感染対策を打ってもらうための一つの参考になるので、そういうことはまだ検討中ですけど、そういうようなスタディをするのが我々の仕事だと考えて今それを考えているところです。
(長妻議員)
これはリスクとベネフィットを厳密に比較衡量して、やるやらないを議論する時がとっくに来ていると思います。
オリンピックを限定的にせよやる場合には、組織委員会から発表がありましたが、国内外でだいたい38万人くらいが集ってくると。無観客であっても、ということです。組織委員会事務局に資料を作っていただきましたが、オリンピック25万人、パラリンピック13万人の計で38万人が関係者として集うわけです。尾身先生がおっしゃったように市中に、街中に、オリンピックということで非常に緩んだ空気が相当増えてくるということで感染が増えるということは今お認めいただいた。ということは、たとえ限定的であってもオリンピックをやる場合はまったくやらなかった場合と比べて、お亡くなりになる方も増えてくる。
じゃあ、どれだけ被害が増えた場合は中止で、延期で、このくらいの被害ならやっていいと。
こういう議論をやっていいのかということも含めて、私は倫理学者や哲学者も含めて疫学の専門家を含めて相当きっちりと議論しないといけないと思います。
尾身先生、そういうお亡くなりになる方、どの程度、オリンピックとの相関関係があるかを議論する必要性をどういうふうに感じますか。
(尾身氏)
どの程度の人流が増えればどの程度の感染者が増えるかですよね。
それは政府や組織委員会が意思決定する時に参考にはなると思います。
しかし本当に大事なことはそういうことを参考にして、委員がおっしゃるように、仮に感染者が増えて重症者の人が出る可能性がありますよね。そうしたことがないように今から、これは仮にオリンピックを開催するということになれば当然、緊急事態宣言の解除というものオリンピックとは関係がないけれど事実上タイムテーブルには載ってくるわけで解除した後どうするのかということも含めて、そういう感染者の増加ということがないような形でしっかり解除をして、その後の解除した後の対策をしっかり打つし、一般の市民にどういうふうな協力をお願いするか、政府はどういうことをこの間、新たな対策というのが私は必要になってくると思います。それはこの前も申し上げましたけれども、いろんなテクノロジーですよね。ただ検査じゃなくて、ワクチンじゃなくて、他のいろいろなテクノロジーをフルに活用してそういうことがないように、してもらう。何人許容できるか、というのはたぶんそこが目的ではない。そういうことが起きないように、もしやるのであればしっかり対策を打つことが大事だと思います。
(長妻議員)
尾身先生の後段のところは、起きないように全力を尽くす、ということは当然だと思うんですね。ただ前段の、さきほどおっしゃったようにオリンピックをまったく開かない場合と開いた場合で感染者が増えるわけです。リスクが高くなるとおっしゃいましたから。
私、これはメリット、デメリットを天秤にかけて量れるようなものなのかなと。天秤というのは、オリンピックをやらない場合よりも感染者が増えて、重症者も増えて、お亡くなりになる方もどのくらいかは別にして増えると。そういうリスク。
もう一つはベネフィットがあると。オリンピックですね。今のリスクを上回るベネフィットというのは、どういうものなのか。今までかけたお金がもったいないとか、経済効果が減退するとか、それが命に優先するのか。天秤にかけること自体、私は疑問に思う。いったい、亡くなる方が増えることを上回るベネフィットというのは、どういうものがあれば開催、ベネフィットが上回ると思いますか。
(尾身氏)
リスクとベネフィットを考えて、どう判断するのかというのは前から申し上げている通り、私のすべき判断ではない。むしろさきほど亡くなる方が出るのではないかというお話…。そういうことがないようにするのがみんなの願いで、感染のリスクというのは実は外から来る選手や関係者がいて、その人たちの中のことと、その人たちと日本人との接触があるという場合、それから日本人のほとんどは接触しないですよね、その3つのパターンがある。私は何度も申し上げましたけど、これは選手と関係者、あるいは選手と接触する日本人というよりも、このオリンピックを契機にして、日本の中の人の動きが、動く。ということがある程度想定…、これをどうやって抑えていくか。これの方がはるかに大事。このことを是非、組織委員会と政府にはご理解…、どうしてもプレーブックの話に行く。選手のワクチンの話に行く。実はそれは大事ですけど、それはもうある程度は検討されていること。
むしろ問題は地域における…喜び。オリンピックというのは特殊なあれですから。
ということで先生のご懸念のことを、(もしオリンピックを)もしやるのであれば、本当はそこをしっかりやっていただきたいというのが今のところの私たちの今の思いです。
(長妻議員)
いやそういうふうにならないように、というのがもう当然なんですよね。誰も異論ないと思いますけど。特に尾身先生がおっしゃった街中のゆるみ。これをどういうふうにコントロールするのかは相当に難しいですよ。(中略)昨日、加藤官房長官の記者会見で、記者の方がオリンピックを何のためにやるのかという尾身先生の言葉に関連してオリンピックの意義と目的について質問したら官房長官は3つ言ったそうです。1つ目はスポーツの力を日本および世界に発信する。2つ目は震災から復興した姿をお見せすること。3つ目は、新型コロナを克服し、世界規模の課題を解決することを示すこと。この3つだと言っている。
私はこれがベネフィットとして天秤に載せて、感染のリスク、これを量るよりも、3つの目的がベネフィットが重いとは到底思えないのですが、尾身先生は(「オリンピックは一体何のためにやるのか」という問いを投げかけた立場でどう考えるのか)
(尾身氏)
私はベネフィットとリスクという判断は今までしていませんし、むしろ、普通に考えて、これはやるのであれば開催の意義を組織委員会がはっきりと打ち出す、これは普通の考えですよね。それについてはいろいろな考えがありますけど、ご質問ですので、私は個人としてはスポーツの力というものはそうだと思いますし、首相は平和の祭典ともおっしゃっているし、いいことだと思います。平和の方が。そうした政府の考えに加えて申し上げると、私は個人的には仮にやるとすればそうしたことに加えて、私としては2つのことに関心があります。一つは選手の気持ち。一度延長してその中で困難な状況の中でなんとか今までの成果をこうした舞台で示したいという気持ちはそれは私は1個人としてはわかるので、可能であればそうしたチャンスを選手の人に、もうすでに一回延びていますからね、という気持ちがあります。
もう一つの私の関心事は、もし政府、組織委員会が(オリンピックを)やるのであれば、感染のリスクを最小化する、どういう方法で最小化できるのか、という会議の運営の仕方だと思います。それはおそらく仮にオリンピックが始まった時に、日本の方も外国の方のごひいきの選手がいる。その人が良い成績を出したら、当然、そこには感動があり、喜びがある。ドラマがある。きっとあると思います。今まではそのドラマを会場で1964年の東京オリンピックのように、みんなが肩を抱いて、肩を叩き合って大声でその喜びを会場内で共有したと思うんですけど、私は今回はこういう状況ですから、そうした感動、そうしたドラマを新しいITの技術、通信技術を駆使して、その感動を二方向。会場と日本だけでなく各国の家庭にいる人との双方向の共有を考えていて、実はこうした感染症はこれで終わるだけではありません。何回か来る可能性があるので、私は、もしやるのであれば、今回の東京大会を契機に新しい感染症に対処する方法、IT技術を使った方法の始まりというかきっかけになることを期待している。もしやるとしたら、の私の個人的な思いです。
(長妻議員)
専門家がなるべく早く考えを示したいとおっしゃっていましたが、いつ頃になりそうですか。
(尾身氏)
それは今、私ども専門家の間で考えていますが、政府は6月20日に決めると私は側聞していますので、なるべくそれより前に我々の考え方を何らかの形でお伝えできればいいと考えていますが、日にちは決まっていません。
(長妻議員)
尾身先生がリスクを最小化する、IT技術を活用するとおっしゃっても、リスクをなくすことはできないと思う。オリンピックをやらない場合と同様にリスクを抑え込むことは可能なのですか。
私は5つのリスクがあると思うが、その中にはIOCが関わることができないリスクもある。
一つはオリンピックにともなう街中のゆるみ。オリンピック開催前後、非常にお祭り気分になって、五輪の開催は人々が外に繰り出す契機、人流が増える契機になるおそれがある。たとえば飲食店に時短の要請をしていても、ビヤホールは満員になるだろうし、今オリンピックをしているのなら少しくらいならというような気持ち。こういうのをどうやってコントロールするのか。こういうことについてはIOCや組織委員会もコントロールの外に置かれているのではないか。この点についてはいかが思われますか。
(尾身氏)
私ども専門家も地域での感染をコントロールするには、感染対策以上に、人々の気持ち、考えが非常に重要だと思います。おそらくこれだけの格別なイベントが起こる場合には今「お祭り気分」とおっしゃっていましたけど、そういう高揚した気分というのがおそらく生まれるのだと思います。その気分を味わいながらどうやって人に感染させないというのは、ここは総論ではなくて各論に行かないといけないけれども、今、委員からはその部分は組織委員会がコントロールできないのでは、というお話があった。私はコントロールという言葉がふさわしいかどうかというのは分かりませんが、組織委員会の人に理解してもらう必要があると思う。
彼らができることが実はあるんですね。私はスタジアムの中での感染はそれほど心配していないけれども、実は会場のあり方、セレモニーも含めて、人々の意識に影響しますから。人々が一生懸命、家で、本当は外で飲んで肩を組んで応援したいのを抑えてということが期待されているのであれば、オリンピックの会場で、選手と運営の側が関係のない人がいわゆるお祭り騒ぎのような雰囲気をそこで見せるということ自体がそこでは(スタジアムの中では)ワクチンを打っているから感染は起きないけれども、その可能性がありますよね。
ただ人々がそれをテレビで見て、納得感…、だから私は参加者の数をなるべく減らしてくださいと。やるんだったら、競技に必要な人々には入ってもらって、そこでセレモニーというのかお祭りの雰囲気が始まったとたんに…。だから私は地域の人たちに理解と共感を得ることが大事だと。そのためにオリンピック組織委員会にはできることがあると思います。
(長妻議員)
祭典ですからね。オリンピック自体が。私が言う5つのリスクは無観客でもあるリスクです。たとえば7月に感染爆発やステージ4になった時、緊急事態宣言などを適切に打ち出せるのか。オリンピックによって歪みをもたらさないのか。政策をスパッとオリンピックがない時に比べて打ち出せるのか。これについては尾身先生、いかがですか。
(尾身氏)
これは今の日本の社会にとって求められ、おそらく多くの人々がそう思っていると思いますけど、オリンピックの開催に関わらず、つい最近の大阪のような、緊急事態宣言も出ていて厳しい状況は今も厳しいのですけど、ああいう状況を繰り返すことはオリンピックがあろうがなかろうが避けたいと思っている。
そういう意味ではオリンピックと今回の緊急事態宣言の解除は本来は関係ないわけですけど、だけどもし本当に(五輪を)やるのであれば私は、もし本当にやるのなら先生がおっしゃるように、緊急事態宣言下でのオリンピックなど絶対に避けるということを、もう、ある意味では今日からそういうふうなことで、6月20日頃に(緊急事態宣言を)解除するのかどうかも、解除するにしてもしなくても、その後の数ヶ月、ワクチンが多くの人に、9月とかまでのたったの後数カ月なんですよ。この間にそういう状況。緊急事態宣言を出すような状況を、その後はもう光が見えていますから、おそらく重症化は減ります。このワクチンは感染予防ができる。急にはそれでもこれまでのものをなんとか凌ぐもう先は見えている。トンネルの先に光が。
そういうことで私はそれまでなんとかしのぐ。ワクチン以外のテクノロジー、検査、水道のウイルス調査も。今まではお願いベースで来たけど、もうそういう時代は終わった。私は今日から、地域で感染を防御するために今まで以上にさらに強くする必要があると思います。
(長妻議員)
3つ目、人の流れがどうなるか。都会から地方へというのはどうですか。
(尾身氏)
私は3つのパターンがあると思います。人の流れが都会から地方へというのは一番強いと思います。お盆もあるし。政府はそのことを見込んでの対策…。例のパブリックビューイングなどはまた次のレベルですよね。もう一つは地方の人が試合場に行くというリスク。
私は一番リスクが高いのは今先生がおっしゃった帰省をするということ。そのことはもうわかっている。そのことで地方に感染が拡大したというエビデンスはいっぱいあるので、政府や組織委員会が早めに認識して明確な対策を打ち出していくことが重症者を出さない、被害を抑えるために絶対に必要なことだと思います。
(以下、略)
立憲民主党と無所属会派の山井和則議員から質問
(山井和則議員)
オリンピックを開催することで感染が拡大してコロナで無くなる人が増えるリスクはありますか。
(尾身氏)
オリンピックをやれば多くの人が国内で動きますよね。そういうことで、バブルの中ではなくて、地域…。当然、人々が動けば今までの経験で分かっているわけですよね。感染者が増える可能性があるのでその中で重症者の人も当然出てくる可能性もあるので、もし開くのであれば、バブルの中のことは元より、地域での感染をどうやって抑えるかということに注目するのがオリンピック委員会の人も政府の人も、そこに私はかなり注意を集中してしっかりした対策を取る必要があると思います。
(山井議員)
質問にお答えいただきたいのですが、ということは開催することでお亡くなりになる方も増えるリスクがあるということですか。
(尾身氏)
リスクがあるかないということであれば、当然…しっかりした感染対策を取らなければですね、今までもそうでしたね。いろいろな行事があって感染が増えて、緊急事態宣言を出した時もそういうことがあった。そういったことをこれからなんとか、ワクチンがしっかりとみんなの手に届くまでには、その上にさらにオリンピックをやるのであれば、リスクがありますから。それをないようにするには私は組織委員会、国には求められていることだと思っています。
(山井議員)
ということはオリンピックを開催することによってコロナでお亡くなりになる人が増えるリスクがあるということでよろしいですか。
(尾身氏)
ま、そういうことで…正確に言えば、オリンピックの開催にともなって、国内での、バブルの中、スタジアムの中ではなくて、国内で人流が増えて、接触が増えて、また飲み会なんかが、お祭りムードになって、いろいろなところで普段会わない人と飲み会なんてことをすると感染者が増えて、高齢者にも。そして重症者が増える。その中で死亡者がいることも当然ありうる。ありうるので私はそういうことがないようにぜひしていただきたいと思います。
(山井議員)
結果としてお亡くなりなる方が増えてしまったら、そういう場合、オリンピックは結果的に成功したと言えるんですか。
(尾身氏)
そこはですね、こういう立場ではそういうことがないように。やるのであればここは国が、組織委員会がやるという決定をするのであれば、そういうことがないように、これはしっかりと覚悟をもって様々な感染対策をすることが求められるのは当然だと思うんですね。
ですから成功かどうかというのは私は答える立場にありませんが、感染症のリスクをしっかりと評価して、それに対しては私どもはリスクを近々お考えを示したいと思いますけど、そのリスクを評価してもしやるんであれば、それをいかに最小限にして、そういうことがないように努力をする、これは普通のゲームではないですよね、全世界的な…。組織委員会もこうした日本の状況…。感染リスクがまだあるわけですよ。一定程度。
オリンピックのやり方次第で人々の意識が変わる。そのことを組織委員会の人も十分に理解して政府と組織委員会が一つの心になって、そういうことを避けるんだという強い気持ちになっていろいろなことをやっていただきたいと思います。
(山井議員)
提言を出されるという前提をお聞きしたいのですが、尾身会長の認識として日本政府はオリンピックの開催はすでに決定済みという前提で来週、提言を出すのか、決定の可否も含めて提言を出すのか、それによってまったく意味が違ってくる。いかがですか。
(尾身氏)
これはオリンピックをやるかやらないのかというのは何度も申し上げたように我々専門家が判断すべきではないし、できる立場にはないんです。
我々は今政府がどのように考えているのか正確には知らないのですけど、やらない場合にはリスクの評価は要らないですよね。やるということがもしあるのであれば、我々のこれは、WHOなんかもそうですが、専門家の一番大事な、というか唯一大事なことはリスクを評価するということですから、私どもは前から言っている、今回のリスクは一般のコミュニティーです。(リスクが)一番あるのは。それについて(リスクが)ありますから、やる時にはどう、そのことを踏まえて決定…、やるのであればどうリスクを減らすか、ということを十分に考慮してください、というのが我々の立場だし、それ以上でも以下でもない。
(山井議員)
国民の願いは死者が出るようなら止めてくれということではないのか。
尾身会長、たとえば緊急事態宣言下でもやるべきと思われますか。
(尾身氏)
今、私たちがどういうステージにいるかというと、今回、6月20日頃に今の緊急事態宣言を解除するかどうかという判断が求められていますよね。
その頃にはどうも、私の理解では、組織委員会が参加者の人数の上限を決めるというようなことになっていますよね。これが今、現実です。
そうなると我々専門家は、これは諮問委員会の中でそれについてはしっかり意見を述べて、で、解除した、あるいは、しない、いろいろな場合があると思いますが、オリンピックを開催するということよりも、8月9月になるとワクチンの接種率によって感染も次第に抑えられてくる。それまでの間に、絶対に、同じように大阪のような状況を作らないようにするということに私は政府や自治隊やすべての人が集中すべき。
緊急事態宣言が出たら、オリンピックは中止かという話ではなくてですね、ともかくその間にそういう状況を作らない手立てをすべてやる。それがわたしは重要だと思います。
(山井議員)
感染爆発して緊急事態宣言が出ても、オリンピックをやっていいのか。
(尾身氏)
これは…最終的に決断してもらうのは、組織委員会であり、政府ですね。
で、その際に緊急事態宣言云々というのはどういうことかというと、たとえば感染者が500と600の差というよりは、一番、我々考えなきゃいけないのは例えば大阪のような状況があるとしますよね。ステージ4という。これどういう状況かというと、これは医療に負荷がかかっている。ひっ迫している。ひっ迫しているというのはどういうことかというと、一般の診療、救急外来のようなところに支障が来ているということ。あるいは本当は病院でケアが必要な人が自宅にいるという状況。こういう状況が出た時にさらにオリンピックをやれば医療の負荷がさらにかかる。これはリスクです。今、東京は大阪のような状況ではないけれどもそうなればさらに負荷がかかりますよと申し上げる、それは申し上げようと思っています。ただ、それをもってどうするかというのは国と組織委員会が我々のリスク評価に応じてどんな形にするか決めてもらうのが筋だと思います。
(山井議員)
7月に感染拡大する可能性があるが、もしオリンピックの直前にリバウンドで感染拡大してもオリンピックはやるべきだと思いますか。
(尾身氏)
これは国は総理も安全な大会、国民の健康を守るとおっしゃってますよね。今、委員がおっしゃるように亡くなる人がどんどんどんどん出てくるような状況を作ろうとは、組織委員会も政府も思っていないと私は信じています。
そのために今、単にやるやらないではなくて…という決断も大事ですが、実はそれと同時に、あるいはそれ以上にこれから8月か9月くらいなのか分かりませんが多くの人にワクチンができるまでの間にどういう国内での対策を打つのか、そこに私があまり議論が国会でも行っていないと思います。ここに集中することが先生がおっしゃる、そういう状況を回避する…。一番、我々やらないといけないのがとにかく今日から明日から…もう6月20日はすぐ来ますから。その前後に今までのようなお願い、ステイホームでいいのか。もう人々はステイホームに飽きているわけです。
これについて、オリンピックをどうするかということと同時に感染対策をやるから、これとこれをやるから、もう少し国民のみなさん、と心の問題がありますから人間には。
そのことに政府には全力を集中して、いままでもやってきましたけど、この状況になんあら新しいことを追加しないと絶対に無理。その議論をすべきだと思います。
(中略)
(山井議員)
やはり提言には緊急事態宣言やステージ4ではオリンピックはできないと書くべきではないでしょうか。分科会も人が大勢亡くなってしまう事態に責任があるのでは。
(尾身氏)
分科会がどこまでできるのかは知りませんが、我々専門家の分科会であろうが、私たちは国内の感染対策をしっかりやっていただくための助言ですよね。感染者をなるべく少なくしたい、医療の負荷を落としたいとアドバイスするのが我々の仕事ですので、そういう中で今回、オリンピックをやれば必ず影響が出ますから。一定程度の。
やるんであればこういうことをやってくださいというのは当然。あとリスクについてはいろいろなリスクについては当然。それに対して、政府や組織委員会は合理的な判断を必ずしてくれると期待しています。
(山井議員)
緊急事態宣言やステージ用であればオリンピックをやることは危険だ、たくさんの人が亡くなる危険があるということは提言に書くべきでは。
(尾身氏)
あの、もちろんですね。ステージ4というのは今の大阪のような状況で医療がもう一般医療にも支障をきたしているという時にオリンピックをやればさらに負荷がかかるということは当然申し上げます。
これは感染症だけじゃなくて、熱中症もありますね。東京が少し前の大阪のような状況になれば、医療は本当にひっ迫してかなりの人が自宅でケアをしなくてはいけなくなるという時に、さらにオリンピックをやれば医療の負荷というか人々の健康に影響するのは当たり前ですよね。そういうリスクがありますよということは申し上げようと思っています。
(山井議員)
提言は分科会としての公式なものになるのか、それとも有志のものになるのか。もちろん公式なものの方が効果はあるはず。
(尾身氏)
これについてはこの前も申し上げましたが、今のところ分科会には正式な要請はないわけです。いろんなオプションがあるなかで専門家の人と相談しながら、なんらかの形で我々の立場で表明することがこれはプロとしての責任だと思います。受ける側の意見もあると思います。こういう状況の中でもっとも合理的な方法は何かということを検討しているところです。